2023年12月 2023年にプレイした美少女ゲームと読んだ本

 

 総括。

 今年はほとんどの時間を弁理士試験に充てていたために、読書量・プレイ本数数が端的に少ない。また、先日ようやっと合格して試験を終えたから揚々とゲーム・本ができるかと言えば、審決・判決のキャッチアップやら英会話やらをやる必要があるために、2024年以降もプライベートの時間をどれだけ確保できるかというのが不透明。

 こんなことでは、やるべきことをやる前に本当に人生が終わってしまうので、ちょっと真面目に考えないといけない。漠然と、3年ぐらいかけて実務を一通りできるようになりつつ、お金を貯めて無職やるなり大学院行くなりしようかな、というのは考えているが、上手くいくのか。上手くいかせるしかないわけだが。遅くとも30歳になる前には長期の休み期間を一度確保したい、これは絶対。

 各々2024年も頑張りましょう。以下、2023年にプレイした美少女ゲームと読んだ本です。

 

 

美少女ゲーム

1. RococoWorksVolume7

 J-MENT氏(本作のシナリオライター)は世界観について相当いろいろ考えていたんだろうけど、説明が不足気味 and/or 俺の理解が足りず今ひとつのめり込めなかった。スチルの使いどころやスクリプトにもやや不満が残る。部分部分でなにか言えそうでもあっただけに(例えば、スフィア=災害によって風景が変わるということとか。それこそ本邦は、本作が発売された前後において大地震により風景が一変するということの残酷さを多くの人々が経験しているのだから)、総じてもったいない1作。氏の別作品で言えば、『カタハネ』や『ことのはアムリラート』は既にプレイ済で大体同じような感想を抱いているので、多分馬が合わないんだと思う。決して悪い作品ではないんだけどね……。

 

2. GLacé『Timepiece Ensemble』

 タイトル画面が存在しないという異様な構成を取っている。ALcotハニカム系列なので、シナリオは一山いくら……と思いきや、ななみ√は思いの外満足のいく読後感を味わえた。キャラは十和子とテトメトがかわいい、なんだかんだ言って猫には勝てない。またBGMが凄まじく優れており、一聴の価値あり。特に「Happy Rising」、「Tipsy Lips」、「Night Swallowtail」、「Glance」は非常に良い。プレイ中に一覧から選択してBGMを任意のものに変更できるのも嬉しい。プレイ当時在住していた場所からほど近い北区中央図書館が作中で登場したという個人的なお気に入り箇所も含め、ところどころで満足度が高い、やってよかったと思える印象深い1作だった(なお、批評空間での評価は61点だったが、これは酷に過ぎると思う。いや、俺も抄√と桜織√は流し読みだったけども)。

 

3. Dontsugel『LACKGIRL』

 やはり渡辺僚一の描く戦闘シーンは本当に面白すぎる。求めている渡辺僚一のど真ん中が来てくれた。分量としては短めだけど、分冊でミドルプライスなのでこんなものでしょう。早くPART.Ⅱを出してもらうのと、システム面にかなり粗があるので改善してもらえると嬉しい。

 

4. raiL-soft『紅殻町博物誌』

 地図にない町・紅殻町で過去に流通していた珍奇物品を巡るすこし不思議なお話。美少女ゲームとしてはかなり重めのテキストなのでどうしても人を選ぶところはあるが、シナリオは間違いなく面白い。各所に凝らされていたロマン主義的な意匠がとりわけ好みであった。個人的な事情として、こういった重めのテキストを読む際は適宜姿勢を変えないと集中力が続かず、そのせいで没入しきれなかったのは俺の瑕疵。BGMは安心と信頼の松本慎一郎(Silver Bulletでは大変お世話になりました)。美少女ゲームBGMの作曲家の中では一番好きかもしれない、そもそも知っている作曲家自体が少ないわけだが。

 

5. ミルククラウン『イブキノキセキ ~琥珀の思い出の中で精霊は夢を見る~』

 いぶき√のみプレイして終了。キャラデザはかわいらしくて好みだが、いぶきに対する主人公の粗野な態度や危機意識の薄さに起因する非常事態時の対応が悪かった点は非常に気に障った。システム面やBGMの完成度も今ひとつといった印象を受ける。ただし終盤の戦闘シーンは悪くない。イブキビャクシンやテイカカズラノリウツギといった、言ってしまえばやや地味な植物を登場人物の名前の由来とした点にはシナリオライターの嗜好が伺え、好感を覚えた。関連して、イブキビャクシンは小豆島に樹齢1600年のものが存在するらしく、興味を持ったので機会があれば訪ねてみたい。

 

6. ユニゾンシフト・アクセント『流星☆キセキ ‐Shooting probe‐』

 トゥインク(CV.藤咲ウサ)はかわいいが、シナリオ面ではロケット開発というテーマを同じくする『はれたか』に敵うべくもない。既視感が強い筋立てなのに長すぎるので共通√以降は流し読み。OP楽曲は良い(特に「暗い空で君が迷わぬようにやさしく照らす」という歌詞が好き)。

 

7. KLEINre-laive

 桜沢いづみのイラスト目当てでプレイ。氏のイラストは2010年頃のSilver Bullet作品辺りのものが一番好きだが、この頃のイラストも非常に良いなぁ。シナリオライターの大和環は宇奈月けやきの別名義らしく、同氏の手による『Timepiece Ensemble』がかなりのお気に入りだったので本作も期待していたのだが、こずえ√のみプレイして終了。主人公のセリフと地の文が画面下のテキストボックスで表示される一方、他キャラのセリフはフキダシで表示されるために読みづらく、シナリオもあまり面白くない。今まで煮えきらない態度を取っていた主人公が終盤になって突然自身の好意を自覚し、そのまま流れるように事に及ぶ急展開にちょっと理解が追いつかなかった。また、OPで観られる、夕陽をバックにしてこずえが主人公の手を引くシーンにはかなり期待していただけに、肩透かしを食らったという印象が否めない。テキストにはたしかに宇奈月けやきらしい思考の跡が見え隠れしていたので、その点は満足。以上の通り、そこまで高い評価はしていないのだが、それはそれとして『り・れいぶ もえもえふぁんでぃすく』はしっかり購入しているという。

 

8. GLacé『天ノ空レトロスペクト』

 かの『Timepiece Ensemble』を生み出したGLacéの作品ということでプレイしてみたものの、case1を読んで面白くなる兆しが見えなかったのでギブアップ。テキストが児童向けのように感じられる、SORAHANE『AQUA』に近しい悪さ。つまり、制作陣がプレイヤーの平均年齢を理解しているのか疑わしい。また、無限の猿定理とか人の意志が偶然と必然にどう関わるのかとかいうのが表面的にのみ言及されているという感じを受けた。ちょっと入り組んだテーマでも真剣に正面から描いている美少女ゲームをいくらか知っていると、中途半端に登場する賢しらな用語はやはり苦笑いに堪えず、印象はあまりよろしくない。「レトロスペクト」とか「リメンブランス」みたいな語が出てくるセンスに少し期待したんだけども、まあそういうこともある。

 

9.Silver Bullet『雪影 -setsuei-』

 みんな大好き(要出典)Silver Bulletのデビュー作。同ブランドで『夏雪 ~summer_snow~』等を執筆した沖水ミルが明らかに本作に影響を受けていることが伺えたので、沖水ミル論を執筆するにあたって必須だろうということでプレイ。前半から中盤にかけて同一又は類似のシナリオが続くので飽きがやや強く、食指が伸びづらいのと、絵が若干人を選ぶようにも思う。True√で明かされる秘密も、まぁ予想の斜め上とまでは言えず(田中ロミオ原案なのである程度察せたというのがある。逆に言えば他の田中ロミオ作品が好きなら本作のオチも割とドンピシャなのではという印象。いや知らないけども)、ここまで引っ張ってそれかと肩透かしを食らった感は否めない。しかしながら、ここまで言っておいてなんだが、基本的にSilver Bullet作品というのは面白いとか面白くないとかでプレイするものではないので別にこれで良いのだ。なお、筆者は、前述の通り、沖水ミル論を書くことを目的として本作をプレイしたものであり、当初は本作と『夏雪』等との差異を探そうという意識で読んでいたが、特に何か言及すべき差異はなく、共通項――民俗学的な意匠であるとか、異質なもの、すなわち共同体からの排除の対象となるのがある種の伝統に根ざすもの(本作では「山人」、『夏雪』では「近親相姦」)であるとか、そのような排除が主人公とヒロインとのロマンティシズムをブーストしているとか――の方がよほど目についた。

 

10.LAPIS BLUe.『ももえろ濃霧注意報!』

 沖水ミルの初期に当たる作品。遺作『姉プリ』にも見られるループ&鬱要素はこの時期からすでに確認できる一方で、ジェンダー的な観点からは後期のそれと少なからぬ差異が見られることから、沖水ミルのテクストを云々したい場合には割りとやっておいた方がいい部類に入る1作。中身の話をすると、最後の種明かしシーンでカタルシスが特に得られなかったのと、そもそもその設定は必要なのかと疑念を持った点が各所にあり、妄想の世界に引きこもるか現実と対峙するかという正統にオタクコンテンツらしい筋立てではあるものの、全体的に荒削りという感じを受けた。衒気が垣間見える割には出てくる固有名詞がかなり有名なものに限られているのもちょっと(逆に、氏の後期作ではそういった衒気がほとんど見られないのは面白い変化だと思う)。立ち絵、CGともに絵が安定していない印象も強いが、味として飲み込めないという程ではない。特に結里となずななんかは全然かわいいと思った。結里は声がかわいいんだよな……。とここまで色々書いてきたが、例によって、こっちはもう面白いとか面白くないとかで沖水ミル作品をプレイしていないので、普通に満足している。

 

11.LAPIS BLUe.『BIFRONTE ~公界島奇譚~』

 「自分は他人に受け入れてもらえない存在だ」という自意識、「男らしさ」の失墜からくる無力さ、鬱要素の多い筋立て等、沖水ミルらしさがよく表れた一作。ただ、追われる身でありながらコンビニやら病院やらにフラフラ出向いたり、一部のルートで唐突に現実と虚構という二項対立を取り上げた割には特にシナリオに絡んでくるものでもなかったり、菜緒が主人公を好きになった理由が不明確であったりと細かい設定の詰めが甘く、緊張感やカタルシスに欠けるシナリオだったことは否めない。とはいえ、例によって(以下略)。

 

12.ステージなな『narcissu 1 & 2』

 こういう趣向の作品をインスタントに読んで満足しちゃうのもどうなんかなと思うが、自身がそうありたいと思っているだけに、やはり自分のことよりも他人のために祈るという無私の姿勢には非常に好感を覚えて良い。独身男性が攻撃的にならずに自身を保ち続ける数少ない方法の一つが、身近なところで言えば募金とか献血とかいうような奉仕を行うことですからね……。

 

13.CUFFS『倉野くんちのふたご事情

 普段、美少女ゲームはシナリオ目当てでプレイしているのであって決してエロ目的ではない、みたいなツラしといてこれです。もう終わりだよ。シナリオについては特に言うことなし(及第点とかではなく、本当に1行も真剣に読まずにスキップしていたので何も言うことがない)。強いて言うなら、口に入れるものを作る場所でセックスするのは絶対に止めていただきたいということくらい。

 

1.丹治信春『クワイン ホーリズムの哲学』
2.青山拓央『分析哲学講義』
3.村田沙耶香コンビニ人間
4.大今良時聲の形
5.中島義道『孤独について 生きるのが困難な人々へ』
6.J.D.サリンジャーフラニーとズーイ
7.アイザイア・バーリンバーリン ロマン主義講義』
8.海老坂武『サルトル実存主義とは何か』 2015年11月 (100分 de 名著)』
9.榎本博明『「対人不安」って何だろう?』
10.大塚英志東浩紀『リアルのゆくえ』
11.大塚英志『文学国語入門』
12.横山芙美編『ユリイカ 2015年9月号 特集=男の娘』
13.星期一回收日『ネコと海の彼方』
14.岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』
15.井手久美子『米国連邦商標出願ガイドライン
16.苫野一徳『別冊NHK100分de名著 読書の学校 苫野一徳 特別授業『社会契約論』』
17.蒼樹うめ『微熱空間』

→以降、姉弟間の恋愛を描いた作品が続く(とにかくそういうものが自分の中でアツかった時期だった)。

18.マルグリット・ユルスナール『姉アンナ…』
19.シャトーブリアン『ルネ』
20.糸杉柾宏『あきそら』
21.池上俊一ヨーロッパ史入門 原型から近代への胎動』
22.池上俊一ヨーロッパ史入門 市民革命から現代へ』
23.福島鉄平福島鉄平短編集 アマリリス
24.福島鉄平『こども・おとな』
25.ジャン・コクトー恐るべき子供たち

 

 

2023年9月 弁理士試験論文式試験結果その他

 

弁理士論文試験結果

 7月のリベンジ戦(n=2)に無事受かっていた。詳細は以下の通りで、割とスレスレであった(54点を超えたら恐らく受かるだろうとされている)。スレスレッタ・マーキュリーですね、2クール目観てないけど。

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 特に特実は前年度試験と同じ得点である。この1年はいったい何だったのか? まぁ特許を専門にするつもりはないし勝てば官軍ということで、無事「人生リベンジ完了、だろ?」*1となりました。

 とはいえ、今振り返ると去年は全然準備が足りていなかったなと強く感じる中での53.5点だったので、「今年受からなかったら嘘だろ……」とは正直思っていた。ようやっと発表があって一安心です。今勤めている事務所には試験に受かるだろうという前提で採ってもらっていたので、事務所に顔も立つし、良かったにゃんです。

 目下の問題は口述試験の勉強をほとんどしていないということなのですが、もうパターンに入った感じがあるのでなんとかなるでしょう(というのは、口述試験の合格発表日が自分の誕生日なのだ)。とか言って落ちたら洒落にならないのだが。

 一刻も早く実務を覚えて企業知財部に戻りたい!

 

出ましたっ!パワパフガールズZ』4話

多ぶん、あなたは結婚すれば、世の中を嫌ふ心が薄らぎませう。

シャトーブリアン『ルネ』*2

 

 何の気なしに『パワパフZ』を視聴したところちょっと面白かったので、軽めの感想を書きます。

 

 ざっくり言って、『パワパフZ』第4話「ガールズ、家族の絆!」とは、男性にとっての救済が女性の愛にあること及び家庭の重要性を主張する保守的な(一部は前時代的な)話ではないかと思います。強い言い方をすると、女性を当てがえ論としての『パワパフZ』となる、かも。

 

あらすじ:

 ユートニウム博士の息子・ケンに母親がいないことを知ったブロッサム、バブルス、バターカップらガールズ3人は、交代でケンの母親代わりを務めることを決める。こう言うと聴こえは良いが、実際にはガールズがお姉さんぶるために息子役としてケンをあてがっただけであり、ロクに洗濯も料理もできないガールズによりケンは多大な迷惑を被り、結果としてプチ家出をすることとなる*3。しかし心の底では母親がいないことを少なからず気にしており、公園で家族の団らんを見て寂しそうな顔を浮かべるケン。その心の隙間を狙ったのがガールズの敵・モジョであった。孤独なケンに身勝手な親近感を抱いたモジョは、ケンを強制的に家来にしてしまう。仕方なくモジョに付き従う中で、ケンは遊園地にいる幸せそうな家族の団らんを破壊することを命じられるが、ここでガールズが颯爽と登場。ケンを窮地から救い出す。その後、ガールズはケンに「俺たちやケンだって家族だろ」「ママは無理だったけど、お姉さんにはなれるわ」と励まし、ケンは「家族っていいものですね」と独りごちるのであった。

 

 まず確認しておきたいのは、第4話においてモジョが明らかに(今で言う)「弱者男性」的存在として描かれている点です。Bパート冒頭、モジョはハートフルなTVドラマを観て「なにが家族だモジョ! 絵に書いたような幸せ家族やりやがって!」とTVを破壊し、街に繰り出しても一家団欒を見かけてはこれを邪魔します。

 ここで彼の攻撃の対象となっているのは幸せな家族です。そして、家族というのは、1つには互いに互いを愛する人たちの集まりです。他方、モジョにはパートナーや子どものような自分を愛してくれる人たちがいません。

 つまり、モジョは「愛されていない存在」であり、だからこそモジョは幸せな家族が憎くて仕方がない。ここには誰からも愛してもらえないという孤独を抱える一部の現代人の心性が明確に描写されています。また、モジョは今にも崩れそうなあばら家に住んでカップラーメンをすすっているなど貧困に喘いでいる様子が伺えます。このような描写から、私たちは思わずモジョに「弱者男性」を見ずにはいられません。

 

モジョちゅうのは、喪女の事やね。

さっき弱者男性いうてたやないですか。*4

 

 そしてこの点は、自分の「スーパー家来」にしてしまう程にモジョがケンに親近感を抱いた理由とも深く関わってくる。

 ガールズがケンの母親代わりを務めることを決めたとき、その建前として用意されたのは、ケンが「母親の愛に」「飢えて」おり、その愛を与える必要があるから、というものです。つまり、ケンは「愛されていない存在」としてガールズに規定されます。モジョがケンに親近感を抱くのはまさにこの点です。

 ただし、実際には父親であるユートニウム博士が存命であって彼から勉強を教えてもらうなどネグレクトされている様子も見受けられないので、ケンが父親から愛を受けていないということはないはずです。なので、むしろここからは「女性こそが愛を与え、愛を教える役割を担っている」という規範が前提されていることを読み込むべきでしょう。家庭内において子どもに愛を与える母親を持たないケンは、故に愛を知らない、愛されていない、と。

 いちおう付言しておきますが、このような規範は前時代的で、息苦しいなという印象が否めません(母親のいない子供は愛を知らないかと言えば、別にそんなことはないでしょうね)。

 

 まあとにかくモジョはケンが「愛されていない」という点に親近感を抱いたわけですが、ここでモジョがケンと連体を組む(=水平的すなわち平等な関係)のではなく、ケンを家来(=垂直的すなわち支配・被支配の関係)にしてしまうところが物悲しさを誘います。ケンに言うことを聞かせるときも、電撃を流して罰を与える方法を採ってますからね。愛を教えてもらえなかったからこそ他人を愛する術を知らず、支配・被支配の関係しか構築できないという負の連鎖。どのようにしてこれを抜け出すかというのは、本作にとどまらない1つの社会問題と言えるでしょう。

 

 さて、ここまでモジョとケンとは互いに「愛されていない存在」として近しく描かれてきましたが、彼らが決定的に異なるのはガールズのような存在の有無です。

 家来となったケンを助ける際、ガールズは「よくも私たちのかわいい息子を!」「酷い目に合わせたわね!」「ぜってー許さねえ!」とモジョに啖呵を切ります。年上の女の子がこんなこと言ってくれたら、ナイーヴな男の子は嬉しくてたまらないですね。

 ガールズによって窮地を救われたケンは、「家族っていいものですね」とひとりごちる。幸せな家族を憎むモジョと違ってケンがこのように言えるのは、ガールズが助けてくれたから、すなわち、ガールズが愛を与えてくれたからです。

 ガールズがケンに愛を与えてくれたから、ケンは幸せな家族を攻撃する弱者男性にはならなかった。ここでは、モジョとケンとの決定的な差、すなわち弱者男性になるか否かの分水嶺が女性からの愛であったことが示唆されています。付け加えれば、ガールズはケンの母親役であったことから、ここでは家庭内における母親の愛の重要性というものが強調されていると見ることもできます。

 はじめに、第4話が「男性にとっての救済が女性の愛にあること及び家庭の重要性を主張する保守的な話」と言ったのはこの意味においてです。

 

 なお、ケンを励ますブロッサムの「ママは無理だったけど、お姉さんにはなれるわ」のセリフから、その理路は不明なものの、母親と同様に姉もまた愛を与える存在足りうることが示されます。結局ガールズが母親なのか姉なのかは判然としませんが、ともかく愛を与えるのは女性の専権事項とされていることは明白です。

 しかしながら、このように愛を女性の専権事項とする見方を取る場合、逆に言えば「男は女に愛されなければどうしようもない」ということにもなり、これでは男同士で連帯を組む途が絶たれてしまいます(実際、モジョはケンと水平の関係を築くことができず、垂直の関係しか構築できなかったことは前述の通りです)。こうなると、愛されない男性はどうすればいいかと言えば、もはや女性を強制的にあてがってもらうしかなくなるわけですが、そんなことができるはずもありません。

 結局、このような見方は女性にケアを押し付け、男性はますます孤立するという問題を現在進行系で引き起こしているのであり、男女双方にとって不利益が大きいものです。それではダメなので、女性に愛されるという形にこだわらない、愛を女性の専権事項にしないという方向にシフトしないといけない。重要なのは、セクシュアリティを問わず好きな人とお互いに愛し合うこと(その中には当然結婚も含まれます)であると認識しないといけないですね。ちゃんちゃん。

 

 そして次の問題として浮上してくるのは、「それは分かっている、分かっているのだけど非常に難しい、どうすればいいのか」ということです。一番手っ取り早いのは犬や猫等ペットを飼うことだと思いますけどね(ちゃぶ台がえし)。俺も早く犬か猫を飼いたい。

 

 10月もほどほどに頑張りましょう。

*1:『スマガ』は最後のシーンが本当に良くない。ご都合主義どころの話ではなく、作品を根底から台無しにしていたとすら思う。あれはいかに死を受容するかの話であるべきだった(その意味で、オチがあんな感じでなければ、キューブラー・ロスとか引用しながら論じる文章とかあっても全然おかしくなかったと思う。無益な空想だけど)。

*2:畠中敏郎訳、岩波書店、1938年、167頁

*3:この辺りの描写は、年上の女の子にイジめられたいという男性オタクの欲望の表象のようにも自分には映るのですが、本筋とあまり関係がないので置いておきます。

*4:これがやりたかっただけ。

2023年7月 雑記/論文試験所感

雑記

 太ったおばさん、という贔屓にしていた同人作家の作品(『出会って4光年で合体』)がTwitterでバズっていて、非常に複雑な心境である。

 本当に自慢する意図はないのだが、俺は2020年のはじめ頃から同氏を追っていて、いずれの作品も完成度に反して知名度が高くないこと、どうも同氏は生活が豊かでないらしいこと(虫が出入りする部屋に住んでいる、というようなことを一時期言っていたと思う)等を知っていたので、適切な評価を受けるべき人が適切な評価を受けて、おそらく少なくない額のお金を手に入れたであろうことは嬉しい。

 ただそれはそれとして、同氏は俺にとって「行きつけの隠れ家的な店」とでもいうような位置づけの作家であり、良さを理解できる人が理解してお金を出し、それで同氏が生きていければ一番良いと思っていたのも事実であった。それが今回、TVで全国放送されてしまったものだから、なんかこう、こういうことではない! という気持ちがどうしても出てきてしまう(繰り返すように、同氏が貧しくない暮らしを手に入れられたらそれが一番である)。新作が出たらもちろん購入するが、それとは別に、また新しい店の開拓が必要だなぁ……という感じ。

 ついては、今回のブームが一過性で終わることなく、今まで以上に固定ファンが多く付き、同氏が金銭面の心配をすることなく、創作を続けられることをいちファンとして願うのみである。

 また、新規開拓の意味で、そろそろ同人ゲームに手を出してみますか~となっている。本格的に開拓を始めるのは試験終了後になるが、情報を収集して少しずつ準備を進めていきたい。

 どうにかして、美少女ゲームや同人ゲームに関する商標・著作権専門の弁理士になれないかなぁ。

 

論文試験所感

 7月2日に論文試験を受けてきました(n=2)。

 流石に準備期間が1年弱あったので、書けた部分と書けなかった部分の区別はつくし、主観的には去年より手応えもあった(振り返ると、あの記載でよく53.5点も取れたなと心底思う)。今年度の短答の合格率は12.4%と例年よりやや高い。果たしてどうか、というところ。

 とはいえ、ミスがないということは当然なく、まず特実大問1で割りと大きめのミスをしていた(自己指定で国内優先権が適用される旨は記載したが、国際特許出願には41条1項但し書きの適用がないのを完全に忘れており、「優先権の効果は認められないので現実の出願日を基準に特許要件等が判断される」と記載してしまった)。29条1項3号は丁寧に検討・結論を記載したからそこで部分点くれないかなぁ……。その他は、それなりに書きつつ、少し落としつつ、という感じ。

 意匠は、大問1(3)の実施行為をなぜか「輸出」としてしまう異様なミスをした(2条2項1号カッコ書きには言及できてるのに……)。属地主義への言及も、定義の記載のみで十分とは言い難い。製造販売はちゃんと検討しているので、頼むから見逃して欲しい。あと大問2の最後の問題をですます調で書いてしまったが、これで減点になるということは流石にないと信じたい。これは問題文の書き方が悪いよぅ。

 商標。専用使用権と通常使用権の比較についてはあまり上手く書けたという印象がない。本当に最低限のものだけ記載。大問2は、無効理由を8条1項ではなく4条1項11号としてしまったことだけが悔やまれる。商標専門を目指していながら、我ながらやっちゃいけないミスだと思う。国際出願日の認定と無効理由の要件の検討はやったから、ぎりぎりセーフということに……してくれ……。

 

 まぁでも結局は相対試験なので、蓋を開けてみないと分からないですね。論文試験に受かっているか否かで業務内容が大きく変わることをパートナーから示唆されているので、なんとか受かっていて欲しい。というかもう勉強したくないので、本当に頼むわ……。

 

 7月も頑張りましょう。

2023年5月 弁理士試験リベンジ/最近の反省

 

弁理士試験リベンジ

 

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 短答は合格済なので、必須論文さえ通ればなんとかなる、という段階。しかしこの「会場に来る必要はありません。」の文字のために30万(行政書士登録費用)を出したという事実が悔やまれる。1文字約2万円! 情報処理が得意だったらこんな支出を許す必要もなかったのだが、まあ済んだことは仕方がない。もう試験勉強が面白くないったらないので、今回で終わらせられるように頑張りましょう。

 

・最近の反省

 他人とやりあうときは、オープンな場とクローズドな場のどちらが好ましいかを事前に検討すべき。やりあいに無関係の他人に対して認知的な負荷をかけることを避けたいのであれば、クローズドな場でやりあうことが好ましい。

 批判を瑕疵なくこなす、というのは極めて難しい。ともすれば軽率な罵倒をしたいという欲求が湧き上がってくるので、これを抑えることに注力すべき。

 抽象的な概念に対してものを言っているつもりかもしれないが、その概念は少なからず具体的な現実の事物と接続されてあるので、「抽象的な概念に対してものを言っているつもりでした」は通用しない。抽象的な概念が参照する現実の事物を常に考慮に入れて話さないといけない。

 ディスコミュニケーション潜在的に存在するものであって、それを可視化させた者よりも、可視化させなかった者(認識した上で見なかったことにした者)の方がなにか一方的に賢いかのように考えるのはおかしい。

 

・その他

 久しぶりに読んで、やはりいいなと思ったので引用。

 太陽という恒星がある。その周りを百万分の一以下の体積の惑星が回っているがそれが地球だ。その地球の表面の片隅に一時期だけ存在する空気の動きというものがあり、それが北風と呼ばれる。この両者が勝負したことがある。もちろん完膚無きまでに太陽が勝った。誰にだって分かりきった結果、異論を許さぬ試合内容、教訓もバッチリ、一般性を兼ね備えた上等の寓話のできあがり。めでたし、めでたし。

 こういう場合北風の味方をせずにおれないのが一山いくらで必ずいる。

 その一人が僕という人間だ。

太ったおばさん『まっしろな楽園の砂』より。

2023年1月 雑記/『Timepiece Ensemble』モデル地探訪

 

 

雑記

 10月に受けた行政書士試験に無事合格していました。ひとまず第一関門クリアです(弁理士試験選択式論文試験の免除を受けるために受験した、という背景があります)。


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 事前の自己採点で合格することはおおかた予想できていたとはいえ、本当にしょっちゅうマークミスをやらかすので恐々としていましたが、よかったよかった。っしゃーオラ。しゃーオラ・グロスマノヴァです*1。しゃーオラ・グロスマノヴァはともかく、人生の調子が落ち込んで久しいので、これを機に復調して欲しいですねー。

 

『Timepiece Ensemble』モデル地探訪

 他にやらなきゃいけないことがいくらでもあるだろ……と思いつつ、1月中にプレイした『Timepiece Ensemble』を結構気に入ってしまったので、その勢いで背景のモデルとなった土地に行ってきました。本作は、はっきり言って人気も知名度もまったくないので、おそらく俺が、令和に入って初めて『Timepiece Ensemble』の聖地巡礼をしたオタクだと思う。

 ということで、東京は浅草橋の第六天榊神社です。作中では、「第六天姫榊神社(だいろくてんひさかきじんじゃ)」という名称になっています。

 

 

 鳥居手前の柵がかなり特徴的なのですぐに分かりました。どうも結構な歴史のある由緒正しい神社らしいね、よく知らんけど。お前はいつになったら神道について勉強をするんだ?

 比較してみると、作品内の鳥居が実際のものよりもやや大きいこと、社殿前に位置する木々をあえて描かないことで見通しを良くしていること、実際には存在しない石灯籠を配置して荘厳さを演出していること*2、電柱や電線、交通標識といったノイズを取り除くことで全体としてすっきりした印象を与えるものになっていることが見て取れます。プロだなぁ(と、適当なことを言ってみる)。

 ちなみに、第六天榊神社から400mほど離れた場所には鳥越神社が鎮座しています。作品の背景として登場しているわけではありませんが、おそらく主人公・鳥越多輝くんの名字の由来となった神社です。

 

 

 鳥越神社は第六天榊神社よりも規模が大きく、そのためか色々と整っていて、神社についての諸々や周辺地域を説明してくれるタッチパネルとかありました。知識がないので他に言うことはないです。

 その他、ななみ&こなみの名字の由来と思われる「蔵前」駅の写真を撮ったり、ちあら√で登場した北区中央図書館にも行こうかと思いましたが、他にやらなきゃいけないことがいくらでもあるだろ……と正気に返ったので断念しました。

 蔵前周辺を訪れたのは初めてでしたが、ライオン株式会社の本社や筑摩書房の編集部があったり、なぜか玩具の問屋が多かったりと、散歩向きの割と面白い町でした。知らない町を歩くと無用な知識が勝手にたまってくれるのが嬉しいですね。探訪は以上です。

 

 ところで、皆さんは『Timepiece Ensemble』のBGMの中でどの楽曲が好きですか? 私は「Happy Rising」、「Tipsy Lips」、「Night Swallowtail」、「Glance」あたりがお気に入りです。『Timepiece Ensemble』のBGMの内どれが好きかでその人間の全てがわかりますからね。

 そしてこれは本作で一番好きなテキスト。

 

 

 地味にめちゃくちゃ良いことを言っていると思う。

 2月も頑張りましょう。

*1:しゃーオラ・グロスマノヴァとは

*2:2023年2月2日追記:後日グーグルマップで確認したところ、上の写真では見えづらいものの石灯籠については現実に存在していました。申し訳ありません。

2022年12月 2022年にプレイした美少女ゲームと読んだ本

 

 2022年の軽い総括をば。

 今年は試験×2に転職活動(無事に終わりました)と色々忙しかったです。やりたいことがたくさん積もっているんですが、その前にやらなきゃいけないことがアホみたいにあるのでしばらくは厳しそうですねー。まぁ自分のできる範囲のことを精一杯やったります。

 

 以下、2022年にプレイした美少女ゲームと読んだ本デス。

 

 

美少女ゲーム

 2022年にプレイした美少女ゲームの総数は39作でした。ろくでもないな。読んだ本の数より多いのは正直どうかと思う。

 

1.りぷる『ミライセカイのプラネッタ』

 OP曲『疾るセカイと僕らのミライ』が強い。お話の方は、なんというか、あんまり面白くなかったです。以上。

 

2.半端マニアソフト『冬は幻の鏡』

 渡辺僚一作品だなぁという感じ、まぁ渡辺僚一作品はみんなそうですが。キャラクターがそれぞれ魅力的だった一方で、近年の氏の作品に慣れている自分としては今ひとつのめり込めないというところがないでもなかったです。話が茫漠としているというか、ちょっと手の中に収まってくれない的な(逆にSF四季シリーズ以降は、良い意味で読者が受け入れやすい程度にコンパクトに話がまとまっているように思う)。面白くなるのが遅くて若干辛かったが、それでも面白いところは息が詰まるほど面白い。現と幽は分かりやすく「ここではないどこか」ですね。

 

3.チュアブルソフト『私が好きなら「好き」って言って!』

 不具合のせいか、あらゆるムービーが観られなかった(Win10 64bit)。さすがは『あの晴れわたる空より高く』のライターと言うべきか、シンプルに話のつくりが上手い。思わぬ伏線が張られており、やられた! と思う瞬間が何度かあった。他方、まひる√はどうしたんだと思うほどに浅い。思えばまひる√だけ異様におしっこが多かったので、ロリのおしっこが好きな人が無理やりまひるをねじ込んだために浅い話になってしまったのではないかと邪推している。人気投票はまや姉と友希の2強だったらしいが、これは至極順当。コミュニケーションに係る負担を積極的に引き受けてくれる人は、2次元でも3次元でも人気ですね。また、俺が読みたいのはあくまで「ロマンティック」・ラブであり、ロマンティック・「ラブ」ではないのだなと改めて思った。イチャイチャが読みたいのではなくて、イチャイチャが失われるのを読みたいんだよな~という。

 

4.CIRCUS『最終試験くじら

 全体としてはかなり良かったんだが、春香√以降が極めて難解。でも面白かった。こまかい感想は2月雑記に書いたので割愛。

 

5.SilverBullet『こんそめ! ~combination somebody~』

 こういう、明らかにこじらせた作者が書いているテキストしか好きではない。まあでも全体としてはそこまで面白いわけではなかったです。作中でも言及されていますが、行方不明の妹問題がかなり序盤で解決されてしまったので、なにか他に描きたいことがあったのかなと思えば別にそういうわけでもなかったという(いやまあ、自分の目標達成のために集めた「おともだち」がともに苦難を乗り越えることで次第に本当の仲間になっていく、というのが書きたかったんだろうけど、そこまで刺さってくれなかった)。それでも、性格も得意なこともバラバラな各メンバーが協力して事件を解決に導く、という王道のストーリーはシンプルにアツい。シナリオは吉佳√、キャラクターは紺乃が良かった。特に紺乃は、他ヒロインの√ではギャグ要員としての役割を全うしつつ自√では徹底的にデレており、上手く描いてもらってよかったね、という感じ。また、みんな言っていることですがOPが強い。combination somebody!(イェイ イェイ!)

 

6.rúf『ユメミルクスリ

 ドラッグ等の社会問題をふわっと絡めた、ストレートにジュブナイルな作品。話も絵も曲も無難に良いが突出して優れた点はなく、わざわざやる意味があるかと尋ねられると微妙。美少女ゲームではなくラノベにしたほうが良かったのでは。全ルートともそれなりの読後感はあり、とりわけあえか√がしっかり重いのは好みでした。ただ、やはりマルチEDだと攻略√外のキャラは救われないのが欠点だなぁ。俺は自由意志を信じていないので、攻略√外のキャラも主人公と出会っていたら救われた可能性があることを暗に示すマルチED方式はなんとなく居心地が悪い。美少女ゲームにそれ言ってどうすんの、という感じだが。

 

7.Lump of Sugar『ダイヤミック・デイズ』

 まず抗弁をすると、本作のような明らかな萌ゲーは普段やらないのだ。キービジュアルの小星蓮子の、左手を腰にあてて右手をキツネの形にしつつ真横やや上に突き出すポーズがなぜか深く刺さってしまったので試しにやっただけなのだ。だからシナリオには端から期待しておらず実際に大したものでもなかったが、これは別に構わない。問題は蓮子がさして可愛くなかったことである。厳密に言えば、常識の範疇で可愛かった、という感じ。人気投票を確認したら3位を突き放しての2位だったんだけど、う~ん、こんなもんか(かなか会長が1位というのは割と順当だと思う)。結局は自分の勘が外れたのであって、そういうのでグチグチ言うのもダサいのでこれ以上はやめておく。

 

8.半端マニアソフト『空の上のおもちゃ』

 これまでにプレイした渡辺僚一作品とは少し違った印象を受けた。これ以上の感想は保留。

 

9.WHITESOFT『ギャングスタ・リパブリカ』
10.WHITESOFT『ギャングスタアルカディア

 久々に当たりを引けた。個人的には、アルカディアをやらなければリパブリカをやる意味がないくらいに思ったが、世間的には必ずしもそうではないのか? シンプルにミヤスリサのイラストが好みなのに加えて、物語の展開の一部に議論が組み込まれているので否応なく引き込まれる。とりわけシャールカの長広舌は名シーン。キャラクターやBGMなども作品の雰囲気にマッチしていて、総合点が高いという印象(特にヒロインらのファッションはセンスがあって好きだった)。アルカディア後半のアマネ対多で議論が同時展開されるシーンはカッコよかったが、アリーナシステムを使わなかったのは疑問。アリーナを使った方が見栄えが良かったんじゃないかなー。あと欲を言えば、アマネ対シャールカの一騎打ちが見たかった。OPでそういう描写あったし。その他だと、キャラクターとしては水柿こおりが頭一つ飛び抜けていたという印象。『こんそめ!』でも思ったが、幼なじみキャラが好きなのかもしれない(アニメを観始めてから10年以上経って気づくことではないんだよ)。

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これはがんばる女の子

 

11.蛇ノ道ハ蛇ソフト『DS9 ディベートスクールナイン』

 憲法9条改正の是非を美少女キャラクターがディベートするというトガッた一作。テーマのみならず、キャラクターもそれぞれややトガッている(姉がフェミニスト、というよりミサンドリストで妹がヴィーガンの姉妹とか、ネトウヨのミリオタ女子とか)。声優が全員新人というのも良い。考えてみると、たしかにこういう題材で上手い声優なんか使われてはたまったものではないという気がしてくる。また本作は、これはやや意外なのだが、交際に至るまでの描写もわりかし良かったりする。とりわけ桜子√で、自身がしたためた草書体のラブレターの内容を桜子が主人公に白々しく説明するシーンなんかは、正直に言って結構好きだった。と、ここまで色々褒めてきたが、本作において最も注目すべき点は、なんといっても主人公の友人・日和に対するヒロインらの当たりの強さである。殆どの場合において日和にも一定の瑕疵があるのだが、それを差し引いても辛辣で、やれ「お前はただのカスね。いっぺん死んでみる?」だの「お前は出てくんな、このクズ!」だのといった罵詈雑言のオンパレード。本作はこの点が一番面白い。久しぶりに大変笑わせてもらった。なお、付言しておくと、『憲法9条について「ディベート」するエロゲーをご存じだろうか』にあるように、本作においては『「改憲はしてもよいと思うが、いまは必要ではない」、「争点は9条じゃない」、「いまの政権においては実行して欲しくない」などの多様で柔軟な立場はあらかじめ捨象されて』おり、故に本作が『結局のところは「お前は改憲派護憲派)なのか否か」という、立場やイデオロギーの選択を脅迫的に迫る』ものでしかない点を批判されていることは注意しておいていい。ちなみに僕は護憲派です、木庭顕に影響を受けているので。

 

12.WHITESOFT『猫撫ディストーション

 モノローグのテキストや情報不足な点などから『最終試験くじら』に似ているという印象を受けた。こういう哲学ぶった作品はもう飽きてしまったかもしれない(「新規性の欠如」と呼んでいる)。どうしても、真剣に物事を考えたいなら読書した方が絶対に良いよなぁと思ってしまう。一方で、じゃあどうすればその読書の壁を越えられるのか、というのはよく分からない。見方によっては理解してあげられた作品だったかもしれないし、日常パートの掛け合いとかは嫌いではなかったので、あまり悪く言いたくもない。さしあたり、もしも猫を飼うとしたら名前はギズモにします。

 

13.La'cryma『空を飛ぶ、3つの方法。』

 長い! 長いのに面白い部分が少ない! 要所要所はロマンティックで良いところもあったけど、日常会話のノリが徹底的に受け付けない。2008年発売とそれなりに昔の作品だからかネットミームの安易な乱用が目立ち、端的に言って不愉快。いや本当にキツかった(殴られたヒロインが「モルスァ!」とか、主人公に勉強を教える幼なじみが「この点は出ねぇよぉ!」とか言っちゃう)(そして日常パートではこのノリがほぼずっと続く)。さすがに当時でも薄ら寒いノリだったんじゃないのかと思うのだが、続編が出ているあたりそうでもないのかもしれない。主人公についても、その言動にはかなり不誠実な印象を受ける。さすがにTrue√に入ったら真剣にやって欲しかったかなぁ。終始「真面目にやれ」と思いながらプレイしていた。

 

14.SORAHANE『AQUA』

 久しぶりにギブアップ。半分いちゃもんみたいになってしまうが、死期を悟って姿を消した猫を捜索するのは当該猫の意思が尊重されていないので止めて欲しかったかな。そういった点も含めて、シナリオやらキャラの言動やらがとにかく幼稚で、真剣に物事を考えていないという印象を受けた。プレイヤーの大多数はいい歳して美少女ゲームをやっている奴らである、ということを制作陣が分かっているのか疑わしい。素直に「美少女ゲームって良いですよね!(キラキラ)」みたいなことを考えていそう。総じて収穫に乏しい作品だった。まあそういうこともある。

 

15.propeller『はるはろ!

 最終的に発売されることなく開発が終了したため、雑誌の付録として流通した体験版のみが現存するという一作。めちゃくちゃ面白い。日常会話のノリとテンポに2000年代を感じられて良い。各キャラについてもしっかりと個性が立っていて、その上で不愉快な言動も少なく好感を持てる。体験版ながら広がりを感じさせる世界観であり、後々の展開にもよるが色々と言えそうなところもある。いやはや、本当に残念。この作品の話を人としたいんだが、前述の経緯があるもんだから、本作を知っている人とリアルで会うというのはもはや絶望的である。あとOPが信じられないくらい強い(Rita『ハルハナノイロ』です)。

 

16.もっきゃりぺお『世界を破壊する魔法』

 お手軽だけど、薄っぺらいというわけでは全然ない。ラストは食傷気味というか、こういう作品にありがちではある。手軽にそれっぽいものを読みたいのであればちょうどいいと思う。あとはCGが淡くて良いくらいかな。

 

17.WHITESOFT『さくらシンクロニシティ

 ギブアップ。『猫撫ディストーション』で懲りずにプレイした藤木隻作品。なんだろうね。個人的には原画についてそこまで気になるということはなかったし、シナリオもとくに気に障るようなところもなく、やったらやったで面白いんだけど、ことさらやりたいという気持ちが起きず食指が伸びないのでもういいかな、と比較的序盤で切ってしまった。藤木隻とはあんまり相性がよくなかったということで……(なお、元長柾木とは相性が良い)(ならさっさと『sense off』をやれ)。

 

18.F&Cこなたよりかなたまで

 本作がまあまあ評価されているというのは個人的に信じがたいが、時代的なものもあったのかもしれない。余命が3ヶ月の主人公と永遠の時を生きる吸血鬼が出会う、という設定をあまり活かせていないように感じた。(特に問題を抱えていない人がそういうものを娯楽として消費することの是非については置いといて)こういうテーマだと、主人公がいかに上手く死ぬか、というところに重点が置かれているべきだと思うのだが、その辺りに突っ込むということが出来ていない。九重√が一番マシという感じで、特に言いたいこともない。

 

19.ALcotハニカム『キッキングホース★ラプソディ』

 順当に面白く、人と雑に話すのにちょうどいい作品。自分がアニメを観始めたということもあってか、やはり2010年前後の作品の雰囲気には馴染みがあって、安心して楽しめた。『ギャングスタ・リパブリカ』でも思ったが、ミヤスリサはファッションセンスが良いですね。ヒロインの洋服がいちいち可愛くてよろしい。

 

20.Purple『天使のたまご

 背景の情報が少ない上にオチが都合良すぎて「ゲーム」に身勝手に巻き込まれた主人公らの絶望感が伝わらない。せっかくの戦闘も拍子抜けしてしまうほど短く、この作品で何をやりたかったのかがよく分からない。BGMとRita『Lilith』が良かったぐらいか。ちょっとここまで酷いのは久々にやったな。

 

21.オーガスト夜明け前より瑠璃色な

 ギブアップ。同シナリオライターによる『穢翼のユースティア』は極めて面白かった一方、本作は、なんというかこざっぱりとしていて、悪い意味でまとまってしまっていたという印象。あんまり食指が伸びなかったので、もういいかな、と切ってしまった。俺が悪い気もするので、本当に暇で暇でやることがまったくなかったら再開するかもしれない。

 

22.SilverBullet『桜吹雪 ~千年の恋をしました~』

 概してシナリオの質が高い。俺は好き、という感じ。とりわけ天蕗雪花√はかなり良かった。お姉ちゃんキャラを可愛いと思ったのは初めてかもしれない。圧巻のロマンティック。逃走の最中、2人だけの結婚式とか好きに決まってるじゃないですかー。ただし、最後だけちょっと不満。誰にも知られず、2人だけでひっそりと暮らしててくれたら言うことなしでした(そしてそれは後述する『Sacred†Vampire』霧√にて達成される。まぁそうだよね)。また、紫苑√も思いの外良くて驚いた。口を開けば罵詈雑言が飛び出るキャラクターなので、恋愛関係への移行がスムーズにいくのか心配だったが、杞憂であった。シンプルに技巧的。……しかしまさか最後に死闘デスマッチ展開になるとはなぁ。

 

23.SilverBullet『花鳥風月 ~恋ニヲチタル花園ノ姫~』

 『桜吹雪 ~千年の恋をしました~』のファンディスク的作品。花姫√だけ読んであとは流し見。決してつまらなくはないが、まあファンディスクだな、という感じ。女装した男主人公が退席の理由に生理を挙げるも花姫に一蹴されたり、主人公の涙で女同士の喧嘩が止まったりと、「男」「女」の規範的な役割がしばしば逆転、倒錯していたのが諧謔的で良かったかな。

 

24.SilverBullet『夏雪 ~summer_snow~』

 本作についてはいずれ長々と論じるつもりなので割愛。一言で言えば、良作です。

 以下、沖水ミル関連が続きます(『恋ぷれ』は違うけど)。

 

25.Meteor『汐見崎学園演劇部 恋ぷれ ~あなたといちゃいちゃろーるぷれいんぐ!~』

 桜沢いづみの絵が可愛い。鮎香さんがエロい。以上。

 

26.SilverBullet Automatic『Sacred†Vampire』

 沖水ミルの描く〈姉〉は可愛いなぁ、というぐらい。実際の所、シナリオがそこまで面白いということはない。まぁシナリオ目当てでもなかったから別にいいのだけど。

 

27.カウパー『姉@マス』

 琴音√と綾香√のみプレイして終了。何気に初めてプレイした抜きゲー。なのであまり期待せずに始めたのだが、まさかまさかの割と面白いという。正確に言えば、沖水ミル作品に登場する姉キャラクターが好きなら幾分面白い。ヒロインの1人が結婚式の前日にパートナーを事故で失う等、シナリオが全体的に重めだったりと見どころも無いではない。とは言えシンプルに抜きゲーだし、評論のためにプレイしたので特に言うことはないです。

 

28.SilverBullet『妹びらいざー!』

 特に何の説明もなくシナリオが唐突に終わったり、EDが存在しなかったりと、予算が底をついていたであろうことを伺わせる出来栄え。流石にシステム音すらないってどうなのよ? それでも俺はSilverBulletが好きだよ……。シナリオの一部はおそらく沖水ミルが書いてますね。泉美さんなんかはモロに沖水ミルの描く〈姉〉だと感じた。ところで村上智右さんは無事なんでしょうか……?

 

29.Venus_S『姉とプリンセスは嫌われたくない。-俺のラブコメ18禁フラグ、またしても管理できず-』

 沖水ミル先生の事実上の遺作、ということで追悼としてプレイ。普段シナリオゲーしからやらないもんだから、主人公とその姉が冒頭10秒でセックスし始めた時は思わず驚きの声をあげてしまった。鬱要素と姉キャラクターが絡んだループもののシナリオという点に先生らしさを感じ、思わず涙を流す。嘘です。でも沖水ミル先生に復帰していただきたいのは本当です。

 

29.SilverBullet『月と魔法と太陽と』

 つづり√と梢√だけプレイして終了、あんまりパッとしなかったかな。SilverBulletのファンでないならやらなくても問題ない。

 

30.Raccoon『こいじばし』

 なにかよく分からないがとにかく異常な事態が起きており、じわじわと恐怖に包まれる伝奇物特有の雰囲気は良いが、オチが淡白で満足感に欠ける。いきなりガッと終わる感じなのと、√間での一貫性が薄いのも少し気になった。会話のノリも一昔前のそれなので人を選ぶように思う。猿神との「交代」のプロセスに嘘や強制等の不正が許されない点は少し面白いが、分量不足で何か言えるほどではない。及第点やや下という感じ。

 

31.きゃべつそふと『アメイジング・グレイス -What color is your attribute?-』

 めずらしく近年の有名作をプレイ。たしかに面白いが、名作というには今一つ足りないところがあるという感じ。ループものなのでまあよくあるといえばよくある展開だったし(ただ、これは俺がいつプレイしたかによるので、本作の瑕疵でもないように思う)。『はるまで、くるる。』や『スマガ』と比べるとループ回数(年数)が短いので、そういう意味で迫力がないというのはある。キャラクターで言えばなぜかキリエがやたら気に入った。シンプルにビジュアルが好みというのもあるけど、色々気兼ねなく言い合えるような関係が好き、なのかなぁ。『波間の国のファウスト』早乙女凪とか『アイドルマスター シンデレラガールズ』結城晴とか『鷲尾須美は勇者である』三ノ輪銀とか、その系列にあるキャラ。そしてサクヤもまた当然にかわいい、多分一番人気でしょ。健気な女の子が報われることほど嬉しいことはないからね。良作。

 

32.きゃべつそふと『星恋*ティンクル』

 前記『アメイジング・グレイス』を制作したきゃべつそふとの1作目。シナリオが面白くなさすぎて不愉快の域に達している。梱枝りこの原画以外に優れた点がない。残念ながら作品はなんともならない成瀬川凪であった。逆に考えれば、1作目がここまで駄作で酷評されただろうにもかかわらず、めげずに2作目で『アメイジング・グレイス』を生み出したことは褒めたい。

 

33.ACTRESS『WHITE CLARITY』

 残念ながらギブアップ。似たりよったりの展開が続く点が退屈に感じた。あんまり云々できそうなシナリオでもないので読み応えも薄い。シア姉はかわいい。

 

34.Code:jp『Ninja Girl and the Mysterious Army of Urban Legend Monsters! ~Hunt of the Headless Horseman~』

 かなり短めだけど、頭を使った戦闘シーンという渡辺僚一の真骨頂が観られたので満足。また本作は、他作品などで氏がよく依拠していた諸々の知識とは異なる知識から編まれている印象を受けた。"Kilroy was here"とかアーミッシュとか。しかしホントよくこんな色々なこと知ってるなぁ。

 

35.LittlewitchQuartett!

 フローティング・フレーム・ディレクターシステムなるものがかなり独特で面白い。これがうまい具合に大槍葦人の絵や世界観と組み合わさっていて、とにかく1つのパッケージとして完成されているという印象を受けた。シナリオも比較的短めではあるが、度々入る回想がいい具合にロマンティシズムを駆り立てており、満足感が強い。シンプルに良作。李淑花(どうも同姓同名の医師の方がいらっしゃるっぽいですね)のEDが好きだった。

 

36.propeller『きっと、澄みわたる朝色よりも、

 中盤ほどまで進めてギブアップ。特段つまらないというわけではないが、ここまで面白くなる予兆が全く見えないとなると流石に厳しい。逆転ホームランは恐らくなさそうなので申し訳ないが損切り。堪え性がないなぁ。

 

37.minoriはるのあしおと

 初のminori作品。個別EDがアニメーションであるにとどまらず、場面に応じて背景の人物が変化したり、セリフに合わせて目や口が動いたりと細部の作りがとても丁寧で好感を持てる。詳しくないけど、最近の作品でもここまでやってるものは無いのでは。またシナリオもキャラクターも良質。シナリオは和√が好み、キャラクターも和が一番かわいいと思う……かわいいだろうが(特に「何もかも嫌いだけど、誰にも愛してもらえない自分が一番嫌い」的なセリフが非常に可愛らしくて良かった)。その他だと、智夏先生がカッコいい大人過ぎる。彼女のようにありたいものです。また智夏EDには思わず喰らった。総じて良作です。

 

38.sprite『蒼の彼方のフォーリズム

 いちおう渡辺僚一の作品が好きという自認があるのですが、意地というか何というか、正直に言えば世間に寄せた渡辺僚一作品だと舐めていたためにプレイしていなかった作品。バチクソ面白かったです(すみませんでした)。シナリオは莉佳√、次点でみさき√が好み。キャラは窓果が一番かわいいと思う。戦闘シーンの緊張感、ワクワク感は流石に渡辺僚一で、『なつくもゆるる』とか『Indigo』に匹敵するレベルだと感じました。というか、本作が売れるなら『なつくもゆるる』も売れておかしくなかったと思う、いや本当に。まぁ売れる売れないはシナリオの面白さだけで決まらないから仕方ないけど、ここまで面白い作品を書ける渡辺僚一が貧乏なのは許容できないので、できる限り支援をしなければならない。別論で、いくら人気がないからと言って莉佳をハブってASMRすら出さないのはダメでしょ。常識的に考えてあまり褒められたものではない。シナリオが良かっただけに、そういう姿勢は本当に残念です。

 

39.ALcotハニカム『サツコイ~悠久なる恋の歌~』

 人魚の雄は自身のつがいとして産まれた雌に捕食される運命にある、という設定はやや突飛であり、その点に関しての説明もあまり十分ではないため違和を感じなかったというと嘘になるが、それも癖の1つとして飲み込める程度にはシナリオライターの地力が伺えるようなグッとくる良いシーンが散在している。少なくともやって損をするということはまったくない(ただ、曲名「悠久恋歌」はちょっとダサすぎるので絶対に変えたほうがいい)。キャラクターは直さんが好み、元気な女の子が一生好きです。シナリオライターは異なるが、同ブランドの『キッキングホース☆ラプソディ』同様、雑に人と話すのに丁度いい作品といえる。

 

 2022年に読んだ本は36冊でした。前年から大幅減。試験勉強が忙しすぎてあまり読めなかったです(そして来年も同じような感じになりそう)。本を読む時間を作るために大学院にでも行こうかと思っていますが、その口実を作るにも色々準備が必要でなー……。

 

1.中山信弘著作権法 第3版』有斐閣

 

2.川島武宜『日本人の法意識』岩波書店

 

3.大塚英志『システムと儀式』筑摩書房

 

4.塀『たらちねパラドクス 1』一迅社

 

5.日渡早紀ぼくの地球を守って 1~12』白泉社

 

6.大出敦『クリティカル・リーディング入門』慶應義塾大学出版会

 

7.まにお『きたない君がいちばんかわいい 5』一迅社

 

8.渡辺僚一『はるまで、くるる。』桜雲社

 

9.未幡『私の百合はお仕事です! 10, 11』一迅社

 

10.渡辺僚一『少女人形と撃砕少年 さいかいとせんとうの24時』集英社

 

11.早川タダノリ『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』朝日新聞出版

 

12.中根千枝『タテ社会の人間関係』講談社現代新書

 

13.青木人志判例の読み方』有斐閣

 

14.大塚英志『公民の民俗学』作品社

 

15.本田透萌える男筑摩書房

 

16.木村草太『キヨミズ准教授の法学入門』星海社新書

 

17.ササキバラ・ゴウ〈美少女〉の現代史講談社

→〈美少女〉の変遷はもちろん、パロディ周りについての示唆にはかなり影響を受けた。

 

18.渡辺祥三『法とは何か』岩波書店

 

19.伊藤誠伊藤誠民法入門』日本評論社

 

20.大浜啓吉『「法の支配」とは何か――行政法入門』岩波書店

 

21.木庭顕『誰のために法は生まれた』朝日出版社

→すごく良い本。政治と宗教の癒着が取り沙汰される中で、国と徒党とがグルになることがいかに悪辣であるか、どのように徒党を解体して個人の自由を大事にしていくか、ということを言っている。

 

22.東浩紀動物化するポストモダン講談社

 

24.伊藤真伊藤真行政法入門』日本評論社

 

25.ソポクレス『オイディプス王アンティゴネ』新潮社

 

26.粉山カタ『不可解なぼくのすべてを 1~5』ジーオーティー

 

27.塚田穂高編『徹底検証 日本の右傾化』筑摩書房

 

28.森山至貴『LGBTを読みとく』筑摩書房

 

29.千葉雅也『現代思想入門』講談社

 

30.木村草太『増補版 自衛隊憲法晶文社

 

31.将基面貴巳『従順さのどこがいけないのか』筑摩書房

 

32.中島義道『怒る技術』角川書店

 

33.田中浩之他『60分でわかる! 改正個人情報保護法 超入門』技術評論社

 

34.中原茂樹『基本行政法 第3版』日本評論社

 

35.北村紗衣『批評の教室 チョウのように読み、ハチのように書く』筑摩書房

 

36.杉田俊介『マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か』筑摩書房

 

 2023年も頑張りましょう。