2020年に読んだ本

こういうのは年内に書くものなんだよなぁ。

読んだ本は記録上31冊(参考書含む)でしたが、シリーズを1冊でカウントしていたり、面倒で記録していない本を含めると50冊前後かな?少ない。

就活の影響で時間が取れなかったというのは言い訳に過ぎないので、2021年は最低でも100冊は読みたい。

加えて、年末に振り返って書く方式だと本の内容をあまり記憶しておらず困ることが分かった(それくらい予想しててくれ)ので、読み終わり次第書く方式に変えようという反省。

 

 

大塚英二『メディアミックス化する日本』

『物語消費論』でも有名な、元々KADOKAWAに勤めていた著者がKADOKAWA批判混じりにメディアミックスの構造を解説した本。就活の一環で読んだので色々と感慨深い思いがある。

 

大塚英二『日本がバカだから戦争に負けた 角川書店と教養の運命』

過激なタイトルに目を引かれるが、内容は歴代の角川社長を軸に戦後の「教養」の変遷をさらうもの。人文知と工学知のディスコミュニケーションがどーのこーの。

 

宇沢弘文『社会的共通資本』

大学入学時に祖父から頂戴し、4年次になってようやく読んだ本。ル・コルビジェを猛烈に批判していたことだけ嫌に覚えている。

 

橋爪大三郎『はじめての構造主義

何となく構造主義が気になったので手に取った本。思想史的に「構造主義の父」と呼ばれるレヴィ=ストロースを中心に話が進む。これと、後述の『寝ながら学べる構造主義』を読んで理解した気になったので、以降手を出していない。

 

内田樹『寝ながら学べる構造主義

『はじめての構造主義』とは異なり、フーコー、バルト、レヴィ=ストロースラカンの4人を後代に与えた影響が大きいという意味で「構造主義の4銃士」と称し、彼らの業績と思想史上の意義を確認する内容。普通に面白かった(こういう感想ばっかり)。

 

巖谷國士シュルレアリスムとは何か』

内容はシュルレアリスム、メルヘン、ユートピアの3つのキーワードを通してシュルレアリスムを理解していくもの。pixivで読んだマンガでべた褒めされていたことから興味をもち、実際かなり面白く、3回ほど読み返した。元々1時間半×3回の講義をまとめて本にしたものなので、平易かつユーモアに富んでいて飽きづらい。マンガを読んで何か感じるものがあるなら読んで損はない、と思う。

 

オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』

シュルレアリスム同様、何かしらで見知って興味を持ったはずの本。もう全然関係ないんだが『穢翼のユースティア』というビジュアルノベルをやった直後に読んだせいで『 ……生とは —経済的にも肉体的にも— 重苦しい運命だったのである。彼らは生まれながらにして、生きるということを耐え忍ぶ以外方法のない障害の堆積というふうに感じ、それら障害に適応する以外に解決が見い出せないままに、これまた自分たちに残された狭小な空間に住みつく以外に仕方がないと感じていたのである。』という文章がやたら印象に残った。

 

〇エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ『自発的隷従論』

人間は習慣によって自発的に隷従しちゃうものなんだ、悪い奴が自分に与する悪い奴をねずみ算式に増やすことで権力が強化されるんだ、という趣旨の事を言ってたと思う。こういうのが読みたくなっては中途半端な理解のまま放ることをしばしばやってるのは反省したい。

 

難波功士『「就活」の社会史 大学は出たけれど…』

就活をやる内に就活そのものに興味が出始めたので読んだ。様々な資料から昭和恐慌~バブル以降の「就活」を眺めている。ただ著者から見た当時の状況の捕捉説明がしばしば挟まれていて、そっちの方が面白かったりする。雑多な知識が転がってるのが好きなので個人的にかなり楽しめた。

 

○マイケル・ピュエット『ハーバードの人生が変わる東洋哲学: 悩めるエリートを熱狂させた超人気講義』

講義の教科書に指定されたので買って読んだ。こういう自己啓発チックな本は揶揄の対象になったりもするけど、実際やる気を出すきっかけには使えるのでたまに読む。でも大抵言ってることは同じだったりするよね。

 

○小泉直樹『知的財産法入門』

たしか中山信弘の弟子の方が書いたもの。色々な理由から現在弁理士を目指していて、本格的な学習の前に知識をつけておく目的で手に取った。消尽なども説明しており、初学者には十分な内容だったと記憶している。

 

○伊藤肇『人間的魅力の研究』

講義のゲストとして来た三菱の社員さんが薦めていたので買った(記憶が怪しい)。財界・政界の著名人を深沈厚重、磊落豪遊、聡明才弁に分類して魅力的な人間とはどういう人物かというのを紹介している。『就活の社会史』よろしく知識が雑多に出てきて非常に楽しい。

 

入間人間安達としまむら

アニメ1話放送後、すぐにkindleで全巻買い、物の本も全巻買った。自分でも久しぶりくらいの入れ込み方をしている。アニメにはあまり納得がいっていないが…。

 

○廣野由美子『批評理論入門 『フランケンシュタイン』解剖講義』

安達としまむら』をより深く理解するために、とりあえず批評理論を知ろうと思って手を出した本。メアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』を通して小説の読み方を実践的に理解する。これ単体でも十分に面白く、また、あだしまを読み込みたいという当初の目的もかなり果たせていると感じている。

 

○J・S・ミル『自由論』

何故読もうと思ったのか全く覚えていないが、恐らく教養が欲しいといういつもの発作が起こったものと思われる。無事教養を手に入れた(?)。

 

ヘルマン・ヘッセ車輪の下

安達としまむら』を面白いと思った理由を考える中で、「ビルドゥングスロマンが好きなのか?」と思ったので試しに読んだ。結果そんなに刺さらなかったので違うらしい。

 

○みかみてれん『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』

同じく『安達としまむら』を考える中で、比較対象として他の百合作品を知ろうとして手を出した作品①。陰キャ主人公・甘織れな子とその恋人兼友達・王塚真唯のドタバタガールズラブコメディ。これ百合なのか?とも思う一方で、やりとりがあまりに幼稚に感じられてしまい視聴できなくなったごちうさに代わって可愛いを供給してくれる稀有な作品ではあった。瀬名紫陽花が非常に良い。

 

○未幡『私の百合はお仕事です!』

比較対象その②。玉の輿を狙う主人公・白木陽芽が、ひょんなことから百合コンセプトカフェで働き始める話。節々の細かなこだわりに作者の知性を感じられ、かなり面白い。8巻早く出して欲しい。

 

〇玉崎たま『行進子犬に恋文を』

比較対象その③。イントネーションが未だに分からない。陸軍学校に入学した少女の話。島田フミカネ御大ご推薦とのうわさはかねがね聞いていたが、やはりそれなりに良かった。と同時に、この辺りから段々「自分は別段百合が好きなわけではない」ということに気づき始める。

 

〇森山至貴『LGBTを読みとく』

安達としまむら』以下略。マナーというかモラルというか、(女性)同性愛の話をしたいのであれば最低限知っておかないと良くないなと思って読んだ。入門書なだけあって平易で読みやすいのに加えて、さらにセクシュアルマイノリティを知りたいと思った人のための読書案内が丁寧で良かった。

 

今野緒雪ほか『ユリイカ 2014年12月号 特集=百合文化の現在』

百合について調べるために手当たり次第に読んだ中の1冊。百合にまつわる前提知識(吉屋信子花物語』とか)を知らない時分に読んだのであまり内容を把握できておらず、ゆえに覚えていない。もう少し知識をつけてから再読したい。

 

中里十どろぼうの名人

ユリイカ』にて作者がべた褒めされていたので読んだ。中学生の主人公が、姉の命令で姉の友人の妹になるお話。小説を読むことがあまりないせいか、終始「なるほど…?」となっていた。直感的に百合を感得できないと厳しいのかもしれない。

 

〇牧村朝子『百合のリアル』

レズビアンであることやフランス人の女性との結婚を公表している著者が、性にまつわる疑問を対話形式で解決していく。少し下世話だが、女性同性愛者の実体験が聞きたくて購入。なので自伝的なものを期待していたのだが、ふたを開けてみると性にまつわる既成の価値観に疑問を投げかけて読者に考えることを促すものだった(これは俺が悪い)。

 

 

参考書を除くとこんな感じ。2021年はもっと読もう。